「オール電化の一人暮らしって、電気代は高い?」――結論から言うと、オール電化の単身世帯の電気代は月約1万円(各社試算で約10,800円・詳しい条件は後述)が目安です。ガスを使わない分だけ電気代だけ見れば高く見えますが、ガス代がゼロになるため、損得は「電気+ガスの合計」と「生活リズム」で決まります。オール電化向けプランは夜が安く昼が高いので、夜型・日中不在の人は得をしやすく、昼に在宅が長い人は割高になりがちです。まずは下の【30秒診断】で、自分が得か損かを確かめてみてください。
【30秒診断】あなたはオール電化で得する?損する?
結論から。次のどちらに当てはまるかで、ほぼ決まります。
- 得しやすい人:平日10〜17時はほぼ不在/入浴・洗濯・自炊は夜が中心/今プロパンガス物件に住んでいる(ガス代が高く、乗り換えで安くなりやすい)。
- 損しやすい人:在宅ワークで日中も家にいる/昼にエアコン・IH調理を毎日使う/都市ガス物件からの引っ越しを検討中。
理由と「自分の電気代は高すぎないか」の見分け方は、このあと順に解説します。
オール電化の一人暮らしの電気代は平均いくら?目安は月1万円
オール電化の単身世帯は月約1万円(各社試算で約10,777円・250〜350kWh)が目安です。ガス併用の一人暮らしの電気代(34歳以下で約4,500円)と比べると、電気代だけなら月約6,300円高い計算です。ただし給湯・調理も電気でまかなうためで、ガス代(都市ガス約3,000円)がゼロになる分を差し引くと、電気+ガス合計の差は月約3,300円に縮みます(オール電化は各社試算・ガス併用は家計調査の実支出のため、差はあくまで目安。プロパン併用と比べるとオール電化が有利に、都市ガス併用とは僅差になりやすい)。
| 区分 | 電気代の目安(月) | ガス代 |
|---|---|---|
| オール電化(単身) | 約10,800円 | 0円 |
| ガス併用(34歳以下) | 約4,500円 | 都市ガス約3,000円〜 |
電気だけで比べると倍以上に見えても、電気+ガスの合計で見ると差は縮みます。なお、2人以上の世帯ではガス基本料金が浮く効果が大きく、オール電化のほうが安くなる場合もあります(一人暮らしは使用量が少ないため差が出にくい)。
※オール電化の電気代(約10,800円)は、東京電力EP「スマートライフS」・関西電力「はぴeタイムR」等のオール電化向けプランで月250〜350kWh使用した場合の試算に基づく参考値です(契約約6kVA・燃料費調整込み、条件で増減)。
使い方で大きく変わります。シャワー中心で使用量が少ない人は上の目安より低く、毎日湯船に浸かってしっかり自炊する人は高めになります。上の250〜350kWhは、毎日お風呂にお湯を張り、夜に洗濯・自炊する生活のイメージです。検針票の見方が分からなくても、お風呂と在宅時間の多さでだいたいの見当がつきます。
「冬の請求が1万円を超えて高すぎ…」と不安になる人は少なくありませんが、その多くは季節要因と近年の燃料費高騰によるものです。上の数値は家計調査(単身世帯)の年間平均なので、冬はこれより高く出ます。だから1か月の請求だけで判断せず、年間ならした平均と季節差で「自分のは本当に高すぎるのか」を切り分けると、落ち着いて判断できます。
ただし、いまプロパンガス物件に住んでいるなら話は別です。プロパンはガス代だけで月7,000〜10,000円を超えることも多く、電気(約4,500円)と合わせると月11,500〜14,500円ほどになりがちです。オール電化(電気のみで月約1万円)なら月1,500〜4,000円ほど安くなる計算で、プロパン物件からの乗り換えはオール電化が有利になりやすいです。「ガス代が高すぎてオール電化に逃げたい」なら、まず今の物件が都市ガスかプロパンかを確認しましょう。なお、2024〜2025年のLPガス法改正(三部料金制の徹底・賃貸の設備費をガス料金に上乗せする商慣行の禁止)で、プロパン料金は是正の方向にあります(出典:プロパンガス料金適正化協会「2024年LPガス販売方法の新規制」)。ただし依然として割高な物件も多いため、実際の検針票で単価を確かめるのが確実です。
政府の電気・ガス料金支援(補助)も時期によって実施されます。2026年は1〜3月使用分に電気4.5円/kWh・都市ガス18円/㎥などの補助があり(3月は縮小)、7〜9月使用分も実施が予定されています。時期で実額が変わるため、最新の状況は契約中の電力・ガス会社や資源エネルギー庁の案内で確認してください。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援
季節・地域でどう変わる?
オール電化は冬が突出して高くなります。水温が下がる冬はエコキュートの沸き上げに多くの電力を使い、暖房も重なるためです。寒冷地ほど高くなる傾向も明確です(いずれも電気+ガス相当の参考値)。
| 区分 | 目安(月) |
|---|---|
| 冬(最高) | 約13,200円 |
| 春・秋・夏 | 約8,800〜9,000円 |
| 北海道・東北 | 約11,000円(高い) |
| 関東〜九州 | 約9,200〜9,700円 |
冬に跳ね上がるのは故障ではなく季節要因であることが多いです。

料金の仕組み|エコキュート・IH・夜間プラン
オール電化が成り立つのは、夜間が安く昼間が高い時間帯別プラン(例:東京電力EP「スマートライフS」、関西電力「はぴeタイムR」など、各社のオール電化向けプラン)と専用設備の組み合わせです。主な設備は次のとおりです。
- エコキュート(給湯):電気代の安い深夜にお湯を沸かしてタンクに貯め、日中に使う。オール電化の電気使用の中心。
- IHクッキングヒーター(調理):火を使わない。IH対応の鍋・フライパンが必要な点に注意。
- 蓄熱暖房機・エアコン(暖房):寒冷地では夜間に熱を蓄える蓄熱式を使うことも。
これらを安い夜間に動かすのが基本設計。だから「夜にまとめて電気を使い、昼はなるべく使わない」生活ほど有利です。逆に、昼に在宅して冷暖房や調理を多く使うと、高い時間帯の単価がそのまま効いてしまいます。時間帯別単価の目安は夜間が約20〜26円/kWh、昼間が約30〜40円/kWh(会社・プランで差。昼夜で1.5倍程度の差がある)。だから同じ家事でも「いつ使うか」で金額が変わります。
なぜエコキュートが節約になるか:エコキュートはヒートポンプの原理で、1kWhの電気で3〜4kWh分の熱を生み出せます(気温・機種で変わる)。ガス給湯器の熱効率(約80%)と比べると、電気料金が高くても加熱効率が高いため、夜間の安い電気で沸かせばランニングコストが抑えられます。「電気代だけ高い」ように見えるのは、ガスの代わりに電気が給湯分まで担っているからです。
深夜電力プランの変化(2020年代以降):従来の「深夜電力が極端に安い」旧型プランは、電力自由化とエネルギー市場の変化により、会社によっては昼夜の料金差が以前より縮まっているケースがあります。新規プランを契約する際は、夜間・昼間それぞれの単価を必ず確認し、「夜型生活で本当にお得か」を自分の使用量で試算してから決めましょう。
オール電化のメリット・デメリット(一人暮らし目線)
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ガス基本料金が不要=光熱費を一本化 | 昼間の電気単価が高い(昼在宅だと割高) |
| 火を使わず火災リスクが低い・IHは掃除が楽 | 停電するとお湯・調理・暖房がまとめて止まる |
| 夜型・日中不在なら単価メリットが大きい | 湯切れすると割高な昼間に沸き増し(ゼロから沸かし直し)になる |
| 災害時に電気の復旧は早い傾向(ただし停電中は給湯・調理も止まる) | IH対応調理器具が必要・賃貸は物件数が限られる |
災害時の復旧は電気の方が早い傾向です。内閣府の被害想定(首都直下地震等)によると、ライフラインの復旧目標日数は電気が約6日、都市ガスが約55日です(実際、東日本大震災でも都市ガスの全面復旧には約2か月を要しました。被害規模・地域で大きく変わります)。ただし停電時はオール電化だと調理・給湯も止まるため、カセットコンロや携帯電源などの備えがあると安心です。一人暮らしは自炊や給湯の量が少なめなので、「光熱費一本化」「掃除が楽」のメリットは出やすい一方、初期費用の重さは賃貸なら大家負担で関係ないことが多いです。判断の軸はやはり生活リズム(昼に在宅するか)です。
【一人暮らしの盲点①】エコキュートの作動音(低周波音)
エコキュートは深夜にお湯を沸かすため、設置場所やベッドの位置によっては作動音(低周波音)が気になることがあります。寝室と給湯機・室外機が近い間取りでは、内見時に設置位置も見ておくと安心です。不動産・電力会社の公式ページにはあまり書かれない、一人暮らし目線の注意点です。
初期費用と「賃貸でオール電化」の注意
エコキュートやIHの設置には数十万円規模の初期費用がかかりますが、賃貸では設備は大家の負担で、入居者が払うことは通常ありません。その代わり、オール電化物件は数が限られ、家賃がやや高めの傾向があります。設備は大家のものなので、退去時に撤去・原状回復する必要は通常ありません。賃貸でオール電化を選ぶときのチェックは次の3点です。
- 自分が夜型か:日中不在で夜に家事を寄せられるか。昼在宅が長いなら不利。
- 料金プランの時間帯:夜間が安い時間帯(例:23時〜翌7時など)と自分の生活が合うか。
- エコキュートのタンク容量と「湯切れ」:ワンルーム向けは150〜200Lと小さめのことが多く、友達が泊まって湯を多く使う・冬に長風呂をすると夜を待たず昼に湯切れし、最も高い昼間に沸き増しして電気代が跳ねます。来客が多い人はタンク容量に余裕があるか内見時に確認を(不動産・電力公式にはあまり書かれない一人暮らし特有の注意点)。
- 電力会社・プランを変えられるか:賃貸では建物一括契約などで入居者が勝手にプランを変更できない場合があり、管理会社・大家への確認が要ることも。契約前にプランの自由度も聞いておく。
オール電化の電気代が高いときの原因と節約
「オール電化で2万円を超えた」ようなときは、次を確認します。いずれも昼の使用を減らし、夜に寄せるのが基本です。
- 昼間に電気を使っている:高い時間帯に調理・冷暖房・洗濯が集中していないか。家事を夜にずらすだけで下がります(ただし集合住宅の夜間の洗濯は騒音・規約に注意。タイマーで早朝に寄せる手もあります)。
- エコキュートの沸き上げが過剰:「おまかせ」を節約モードにし、使う湯量に合わせて沸き上げ量を減らす。給湯温度を上げすぎない。
- 湯切れ→昼間に沸き増し:タンクが空になると、割安な夜でなく昼の高い電力でゼロから沸かし直す(沸き増し)ことになり割高に。タンクの熱で温め直す「追い焚き」より高くつきます。沸き上げ設定を見直す。
- 断熱が弱い:厚手のカーテンや窓の断熱シートで暖房効率が上がり、冬の負荷を抑えられます。
- 設備が古い:古いエコキュートやエアコンは消費が大きめ。省エネ機種で改善する場合があります(賃貸は大家へ相談)。
- プランがオール電化向けになっていない:検針票で契約プランを確認。賃貸では前の住人の通常プランを引き継いだまま=オール電化なのに夜間割引が効いていない失敗がよくあります。夜型でないなら電力会社・プランの見直しも検討。
- 支払い方法を見直す:電気代をクレジットカードやQRコード決済にするとポイント(0.5〜1%)分が実質割引に。口座振替割引がある会社もあります(還元率・手数料は要確認)。
最終判断は「家賃+光熱費」の総額で
得か損かは前述の【30秒診断】とこのあとのタイプ別表で判断できます。ただし賃貸で本当に効くのは光熱費より家賃差です。
【見落とし注意】光熱費が安くても家賃で逆転する
オール電化で電気+ガス合計が月3,300円安くなっても、その物件の家賃が月5,000円高ければ差し引きで損です。光熱費の差(年約4万円)は家賃差で簡単にひっくり返ります。物件は必ず「家賃+光熱費」の総額で比べてください。
オール電化の電気は何に使われている?(内訳)
オール電化の電気使用で最も大きいのは給湯(エコキュート)です。次いで冬は暖房、通年で冷蔵庫やエアコンが続きます。ガス併用なら給湯はガスが担いますが、オール電化はそれも電気に乗るため、電気代だけが膨らんで見えるわけです。逆に言えば、給湯(沸き上げ)と暖房の使い方を整えるだけで効果が大きいということ。また、一人暮らしはそもそも給湯量が少ないので、沸き上げ量を生活に合わせて絞れば、ムダがそのまま削れます。
「待機電力をこまめに」よりも、金額の大きい給湯・暖房・冷房を、安い夜の時間帯に寄せるほうが、はるかに大きく効きます。優先順位を間違えないことが、オール電化の節約のコツです。
ガス併用とどちらが得?タイプ別の結論
「オール電化とガス併用、どちらがいいか」は生活で変わります。一人暮らしのタイプ別に整理します。
| あなたのタイプ | 向いている方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 日中は仕事・学校で不在/夜に家事を寄せられる | オール電化が有利 | 安い夜間に給湯・家事を集中でき、ガス基本料金も不要 |
| 在宅ワークなどで日中も家にいる | ガス併用が無難 | 高い昼の時間帯に電気を多く使い、オール電化の利点が薄れる |
| 料理が好きで火力にこだわる | ガス併用 | IHは対応鍋が必要・直火が使えない |
| とにかく光熱費の管理をシンプルにしたい | オール電化 | 請求が電気1本に集約され、火災リスクも低い |
賃貸では「方式を選ぶ=物件を選ぶ」です。内見・契約前に、電気のプラン(夜間が安い時間帯)と自分の生活リズムが合うかを必ず確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
今の電気代が適正か確かめる方法
「うちのオール電化、高すぎ?」と思ったら、次の順で確かめると判断できます。まず検針票やアプリで月のkWhと時間帯別の使用量を見ます。オール電化は夜間が安いプランなので、昼間の使用比率が高い(目安として3〜4割以上)なら、そこに改善余地があります。使用量の目安は、単身なら月250kWh程度までが標準的・350kWhを超える月が続くなら要因ありと考えると切り分けやすいです。
次に、冬だけ高いのか通年で高いのかを切り分けます。冬だけなら季節要因(給湯・暖房)で、断熱や沸き上げ設定で対処できます。通年で平均(月約1万円)を大きく超えるなら、プランが生活に合っていない・設備が古い・湯切れで昼に沸き増しのいずれかを疑います。最後に、同じkWhで他プランを試算します(電力会社の公式シミュレーターや電力比較サイトに、検針票のkWhと時間帯別の使用量を入れると数分で比較できます)。夜型でないならオール電化向けプランを続けるべきかまで含めて見直します。数字を起点にすると、感覚的な「高い気がする」を具体的な打ち手に変えられます。
まとめ:損得は「合計」と「夜型かどうか」で決まる
オール電化の一人暮らしは電気代だけ見れば月1万円程度(冬は13,000円程度)と高めですが、ガス代がゼロになるので電気+ガスの合計で判断するのが正解です。夜にまとめて使える生活リズムなら得、昼の在宅が長いと損になりやすい。高いと感じたら、まず家事を夜に寄せる・エコキュートの沸き上げを見直す・断熱を上げるのが近道です。
物件選びの段階なら、自分が夜型かどうかと、夜間が安い時間帯が生活に合うかを必ず確認しましょう。判断に迷ったら「電気だけ」でなく「電気+ガスの合計」と「使う時間帯」の2軸で見れば、ほとんどの場合は答えが出ます。日中在宅が長いと感じるなら、無理にオール電化にこだわらず、ガス併用物件も含めて総額で比較するのが安全です。なお賃貸では光熱費の差より家賃差のほうが大きいこともあるので、最終判断は「家賃+光熱費」の総額で見てください(上の合計差はあくまで条件例での目安です)。
光熱費全体(電気・ガス・水道)の平均と、節約をどこから始めるかは、こちらの記事でまとめています。

出典・データについて
- ガス併用の電気代(34歳以下 約4,500円)・都市ガス代(約3,000円):総務省「家計調査」2025年(単身世帯)の実支出の平均値。
出典:総務省統計局 家計調査 / e-Stat 単身世帯・年齢階級別 - オール電化の電気代(月約10,800円・250〜350kWh、季節別・地域別):各社のオール電化向けプラン(例:東京電力EP「スマートライフS」、関西電力「はぴeタイムR」など)の料金シミュレーションに基づく参考値(試算)です。家計調査はオール電化を区分集計していないため、上のガス併用(実支出平均)とは母集団が異なります。本文の「合計差」もこの前提での目安です。
試算条件の例:契約約6kVA・月使用量250〜350kWh・給湯/家事を夜間に寄せた配分・燃料費調整込みの概算(条件で増減します)。 - 使用量の判定目安(昼間比率3〜4割以上・月250〜350kWh)は、上記試算と一般的な単身の使用実態を踏まえた編集部の目安です(厳密な統計値ではありません)。
- 再エネ賦課金:2026年度 4.18円/kWh(2026年5月〜2027年4月検針分)。
出典:経済産業省 2026年度賦課金単価 - 災害時の復旧日数の目安(電気 約6日・都市ガス 約55日):内閣府の被害想定(首都直下地震等)の復旧目標日数。東日本大震災では都市ガスの全面復旧に約2か月を要しました(被害規模・地域で変わります)。
出典:内閣府 防災白書(東日本大震災のライフライン被害・復旧) - 一般的なエコキュート・IHの仕様は各メーカー公表値の目安。金額・制度は使用量・地域・契約・年度で変動するため目安です。

